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こんにちは。行政書士の落合です。

私たちの足元、そして屋根の上で、日々静かに発電を続ける太陽光パネル。再生可能エネルギーの主力として、地球温暖化対策やエネルギー自給率向上に多大な貢献をしてくれています。多くの太陽光発電施設を見かけるようになりました。

しかし、この「陽の光が照らす未来」の裏側には、避けては通れない「影」が存在します。それが、太陽光パネルの大量廃棄問題です。

今後、導入された多くのパネルが寿命を迎え、廃棄物として排出されるピークが到来すると言われています。この問題に、私たちはどのように向き合えば良いのでしょうか。

今日は、太陽光パネルの廃棄物問題の現状と将来予測、その課題、そして私たちにできる対策について、詳しく掘り下げていきたいと思います。

目次

1| 太陽光発電の普及と「2040年問題」   

2| なぜ太陽光パネルの廃棄が「問題」となるのか?

   1.環境への影響
   
2.リサイクル体制の未整備とコスト
   
3.処理費用の負担
   
4.資源の有効活用機会の損失

3| 国や自治体、そして事業者の取り組み

   1.国の制度設計
   
2.各自治体の取り組み
   
3.事業者の責任と役割
   
4.私たちにできること ~ 賢い消費と環境意識の向上

4| まとめ ~未来への責任を果たすために~

 

 

1| 太陽光発電の普及と「2040年問題」

日本における太陽光発電の普及は目覚ましいものがあります。
特に、2012年に導入された固定価格買取制度(FIT制度)がその普及を強力に後押ししました。
これにより、多くの企業や家庭が太陽光発電システムの導入に踏み切りました。

太陽光パネルの一般的な寿命は約20年~30年とされています。
FIT制度開始から約10年が経過した現在、最初に導入されたパネルが少しずつ寿命を迎え始めており、そして今後10年~20年後には、その大量廃棄のピークが到来すると予測されています。
この現象は、特に2040年頃に顕著になると見込まれることから、「2040年問題」とも呼ばれ、社会的な課題として認識され始めています。

経済産業省の試算によれば、2030年代後半から2040年代にかけて、年間最大70万トンから80万トンもの太陽光パネルが廃棄される可能性があるとされています。
これは、現在の産業廃棄物排出量に大きな影響を与える規模であり、適切な処理体制の構築が急務となっています。

 

 

2| なぜ太陽光パネルの廃棄が問題となるのか

1.環境への影響

太陽光パネルには、ガラス、アルミニウム、シリコン、銅などの主要な材料の他に、ごく微量ながら鉛やカドミウム、セレンなどの有害物質が含まれている可能性があります。
これらは、不適切な処理が行われた場合、土壌や地下水を汚染し、生態系や人体に悪影響を及ぼすリスクがあります。 特に、最終処分場での埋め立て処分が増加した場合、有害物質の溶出や、埋め立て地の逼迫という問題が顕在化します。

 

2.リサイクル体制の未整備とコスト

現状、使用済み太陽光パネルのリサイクル体制は、完全に確立されているとは言えません。
ガラスやアルミニウムなどは比較的リサイクルしやすいものの、複数の素材が複雑に積層されているため、分離・分別に高度な技術とコストがかかります。 また、リサイクルされた材料の市場価値が低い場合、コストをかけてリサイクルするよりも、安価な埋め立て処分が選択されがちになるという経済的な課題も存在します。

 

3. 処理費用の負担

太陽光パネルの撤去・運搬・処理には費用がかかります。FIT制度では、売電収益を得ることに焦点が当てられていたため、パネルの廃棄費用までを十分に考慮して事業計画を立てていないケースも少なくありません。 特に、導入時に想定されていなかった事業者の撤退や倒産があった場合、誰がその廃棄費用を負担するのかという問題が生じます。最終的に、廃棄費用が十分に確保されていないと、不法投棄や不適切な処理が行われるリスクが高まります。

 

4. 資源の有効活用機会の損失

太陽光パネルに含まれるシリコンや貴金属などは、貴重な資源です。これらをリサイクルせずに埋め立ててしまうことは、循環型社会の実現を阻害し、将来の資源枯渇リスクを高めることにもつながります。

 

 

3| 国や自治体、そして事業者の取り組み

このような課題に対し、国や自治体、そして関連事業者は、様々な取り組みを進めています。

 

1.国の制度設計

経済産業省は、太陽光パネルの廃棄物問題に対応するため、「太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度」を導入しています。これは、FIT認定事業者に対して、発電事業期間中に廃棄費用を外部積立することを義務付けるもので、2022年7月1日から開始されました。
この制度により、廃棄時の費用確保が図られ、不法投棄の防止や適正処理が促進されることが期待されています。

また、太陽光パネルの適切なリサイクル技術の開発支援や、リサイクル事業者の育成も重要な国の施策として進められています。

 

2. 各自治体の取り組み

各自治体でも、地域の実情に応じた取り組みが始まっています。廃棄物処理に関するガイドラインの策定や、リサイクル事業者の情報提供など、適切な処理を促すための啓発活動が行われています。 地域によっては、太陽光パネルを含む再生可能エネルギー施設の設置に関する条例を制定し、環境への配慮や廃棄物処理計画の提出を義務付けるケースも増えています。

 

3. 事業者の責任と役割

太陽光発電設備の設置・運用を行う事業者は、廃棄物排出事業者として、排出する廃棄物を適正に処理する責任を負います。廃棄費用の積立はもちろんのこと、信頼できる処理業者を選定し、契約を締結することが求められます。 また、パネルメーカーや施工業者も、リサイクルしやすい製品設計(エコデザイン)の開発や、回収・リサイクルスキームの構築に積極的に取り組む必要があります。

 

4. 私たちにできること ~賢い消費と環境意識の向上~

太陽光パネルの廃棄物問題は、一部の事業者や行政だけの問題ではありません。
私たち一人ひとりの消費者も、この問題に対して意識を高く持ち、行動することが重要です。

  • 購入時の意識: 家庭用太陽光発電システムの導入を検討する際は、パネルの発電効率だけでなく、廃棄時のリサイクル体制や、メーカーのリサイクルへの取り組みについても情報を収集し、信頼できる製品やメーカーを選ぶことが大切です。
  • 情報収集と理解: 太陽光発電のメリットだけでなく、廃棄物問題というデメリットについても正しい知識を持つことが、持続可能な社会を支える第一歩です。
  • 地域の活動への関心: 地域の廃棄物処理に関する施策や、リサイクルに関するイベントなどに関心を持ち、積極的に参加することも、社会全体のリサイクル意識向上に貢献します。

 

 

 

4| まとめ ~未来への責任を果たすために~

太陽光パネルの廃棄物問題は、再生可能エネルギーが社会に根付く中で避けられない「成長痛」とも言えるでしょう。この問題を乗り越えることができれば、より確かなクリーンエネルギー社会を築くことができます。
豊かな自然を守りながら、持続可能な未来を実現するためには、私たち一人ひとりがこの課題を自分事として捉え、国や自治体、事業者の取り組みを応援し、時には消費者として賢い選択をしていくことが求められます。

陽の光がもたらす恩恵を最大限に享受しつつ、その影の部分にも目を向け、未来への責任を果たしていく。それが、私たち現代に生きる者の使命ではないでしょうか。

またわたくしも行政書士として関わることができる産業廃棄物収集運搬業許可申請等において円滑な手続きの一助となれますよう、日々情報の収集や更新に努めていく次第です。

このコラムが、皆様と共に、より良い未来を考えるきっかけとなれば幸いです。

 

執筆者

行政書士おちあい事務所 行政書士 落合真美

東京都内を中心に、遺言や相続、建設業や産廃業などの許可申請でサポートを提供。人に、会社に、寄り添うことを大切にしています。

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