「自分が長年大切に耕してきた農地を、そろそろ子どもに譲りたい」
「元気なうちに財産を整理して、子どもに生前贈与しておけば後々の憂いがないだろう」
このように考え、ご自身の所有する農地を生前贈与しようと検討される方は少なくありません。老後のライフプランや家族の将来を思い、良かれと思って決断される大変素晴らしいお考えです。しかし、一般的な宅地や建物と同じ感覚で農地の生前贈与を進めようとすると、法律の大きな壁に突き当たり、手続きが頓挫してしまうケースもあります。
農地法に定められている「農地法第3条」という規定です。農地は、日本国民の大切な食料を生み出す基盤であり、国によって非常に厳格な規制がかけられています。ご自身の財産であっても、親から子への贈与であっても、国のルールをクリアしなければ1平方メートルたりとも自由に譲り渡すことはできません。
本コラムでは、「農地法第3条」の基本的な仕組みを解説した上で、それを「生前贈与」に当てはめたときの高いハードル、そして実務上極めて重要な「相続」との決定的な違いについて、分かりやすく解説します。