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こんにちは。行政書士の落合です。

夕暮れ時、ふと見上げると、ぽつんと灯りのない家が目に入ることがあります。あるいは、通勤途中に、雑草が生い茂り、ひっそりと佇む家を目にすることもあるかもしれません。こうした光景は、もはや珍しいものではなくなりました。実はこれこそが、今、私たちの社会が抱える大きな課題、「空き家問題」の現実なのです。
今日は、この空き家問題がなぜこれほどまでに深刻化しているのか、そして、それが私たちの生活にどう関わってくるのかを、詳しく見ていきましょう。

目次

1| なぜ空き家は増え続けるのか
   1.少子高齢化と人口減少
   2.既存住宅の老朽化と品質の問題
   3.相続問題と所有者不明化
   4.固定資産税の「特例措置」

2| 放置された空き家がもたらす深刻なリスクと負担
   1.地域の治安悪化と防災上の危険
   2.衛生環境の悪化と害獣の発生
   3.景観の悪化と資産価値の低下
   4.所有者への法的責任と経済的負担

3| 空き家問題を解決する対策
   1.空き家対策特別措置法の施行
   2.補助金・助成金制度の活用
   3.空き家バンクの活用
   4.行政書士へサポートの依頼

4| まとめ ~空き家を「負動産」から「活用できる資産」へ~

 

 

1| なぜ空き家は増え続けるのか

総務省の住宅・土地統計調査によると、日本の空き家数は右肩上がりに増加しており、2018年には全国で約849万戸に達しました。これは総住宅数の13.6%にあたり、実に7軒に1軒が空き家という計算になります。2023年のデータではさらに増加し、1割を超える住宅が空き家と推定されています。このペースでいくと、2040年には全国の住宅の約40%が空き家になると予測されており、まさに「空き家大国」と化す瀬戸際に立たされています。

なぜこれほどまでに空き家が増え続けているのでしょうか。そこには、日本の社会構造の変化が深く関係しています。

 

1. 少子高齢化と人口減少
最も大きな要因は、少子高齢化による人口減少です。特に地方では、若者が都市部へと流出し、高齢者だけが残された結果、親が亡くなると住む人がいなくなる、という状況が頻発しています。実家を相続しても、子どもたちはすでに別の場所に家を持っているため、実家は空き家のまま放置されることになります。

 

2. 既存住宅の老朽化と品質の問題
高度経済成長期に建てられた住宅の多くが、築年数を重ねて老朽化しています。耐震性や断熱性などの面で現在の基準を満たさない家も多く、リフォームやリノベーションには多額の費用がかかるため、「新しく建てた方が良い」と判断されがちです。また、昔ながらの家屋は現代のライフスタイルに合わない間取りであることも多く、買い手がつきにくいという側面もあります。

 

3. 相続問題と所有者不明化
空き家を相続しても、遠方に住んでいたり、兄弟姉妹で共有名義になっていたりすると、売却や管理に関する意見がまとまらず、放置されてしまうケースが少なくありません。さらに深刻なのは、所有者が亡くなっても相続登記がされないまま放置され、誰がその不動産の所有者なのか分からない「所有者不明建物」となってしまうケースです。これは空き家問題の解決を一層困難にしています。

 

4. 固定資産税の「特例措置」
意外な落とし穴となっているのが、固定資産税の「住宅用地特例」です。住宅が建っている土地は、更地よりも固定資産税が最大で6分の1に減額されるという特例措置があります。そのため、たとえ空き家であっても、家を取り壊して更地にしてしまうと固定資産税が高くなってしまうため、壊せずに放置しておく、という選択をする所有者が少なくありません。これが、老朽化した危険な空き家が増え続ける一因となっています。

 

 

2| 放置された空き家がもたらすリスクと負担

 

空き家は、ただ風景を損なうだけでなく、地域社会や所有者自身に様々なリスクと負担をもたらします。

 

1. 地域の治安悪化と防災上の危険
不法侵入や不法投棄の温床となりやすく、地域の治安悪化を招きます。また、老朽化した家屋は倒壊の危険性があり、台風や地震などの災害時には、近隣住民に甚大な被害を与える可能性もあります。火災が発生した場合も、初期消火が遅れ、近隣への延焼リスクが高まります。

 

2. 衛生環境の悪化と害獣の発生
管理されない庭には雑草が生い茂り、害虫や害獣(ネズミ、ゴキブリ、野良猫など)の棲み処となり、不衛生な環境を作り出します。悪臭の発生源となることもあり、近隣住民の生活環境を著しく損ないます。

 

3. 景観の悪化と資産価値の低下
荒れ果てた空き家は、地域の景観を損ない、街全体の魅力を低下させます。周囲の住宅地の資産価値にも悪影響を与え、地域全体の活力を奪う要因にもなりかねません。

 

4. 所有者への法的責任と経済的負担
空き家の所有者には、適切な管理を行う「管理責任」があります。もし空き家が原因で隣家に被害を与えたり、通行人に怪我をさせたりした場合、所有者は損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、自治体から「特定空き家」に指定されると、固定資産税の特例措置が解除され、税金が最大6倍になるだけでなく、解体や修繕の行政指導、さらには行政代執行(強制解体)の対象となり、その費用が所有者に請求されることもあります。

 

 

3| 空き家問題を解決する対策 

深刻化する空き家問題に対し、国や自治体も様々な対策を講じています。

 

1. 空き家対策特別措置法の施行
2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、市町村が危険な空き家を「特定空き家」に指定し、所有者に適切な管理を促したり、指導・勧告・命令、最終的には行政代執行を行う権限が与えられました。2023年にはこの法律が改正され、管理不全な空き家への対応が強化されています。

 

2. 補助金・助成金制度の活用

多くの自治体では、空き家の解体費用やリフォーム費用、あるいは移住者が空き家を改修して住む場合の補助金制度などを設けています。こうした制度を活用することで、所有者の経済的負担を軽減し、空き家の活用や解体を促進しようとしています。

 

3. 空き家バンクの活用

自治体やNPOが運営する「空き家バンク」は、空き家を売りたい・貸したい所有者と、空き家を活用したい人(移住希望者など)をマッチングする仕組みです。これにより、空き家の流通を促進し、新たな住民を呼び込むことで、地域の活性化にも繋げようとしています。

 

4. 行政書士へサポートの依頼

行政書士は、この空き家問題の解決において非常に重要な役割を担うことができます。

  • 相続手続きのサポート
    空き家の発生原因の多くが相続問題です。相続人が確定できない、遺産分割協議が進まないといったケースで、行政書士は戸籍収集から遺産分割協議書の作成、相続関係図の作成など、複雑な相続手続きをサポートし、スムーズな名義変更を支援します。これにより、所有者不明空き家となることを未然に防ぎ、空き家の売却や活用への道を拓きます。
  • 財産管理委任契約・任意後見契約のサポート
    所有者が高齢で認知症などで判断能力が低下した場合、空き家の管理ができなくなるリスクがあります。行政書士は、所有者が元気なうちに財産管理委任契約や任意後見契約の準備を支援することで、将来的な空き家問題の発生を予防します。
  • 各種許認可申請の代行
    空き家をリノベーションして飲食店や宿泊施設、介護施設などに活用する場合、用途変更に伴う建築基準法上の手続きや、それぞれの業種に応じた許認可(飲食店営業許可、旅館業許可など)が必要になります。行政書士は、これらの複雑な許認可申請を専門知識に基づいて代行し、空き家活用の実現をサポートします。
  • 補助金・助成金申請のサポート
    自治体が提供する空き家関連の補助金・助成金制度は多岐にわたりますが、申請書類の作成は専門知識が必要な場合があります。行政書士は、適切な補助金を見つけ、申請手続きをサポートすることで、所有者の負担軽減に貢献します。
  • 所有者と地域との橋渡し
    空き家対策に関する相談窓口として、所有者と自治体、あるいは地域住民との間に立ち、円滑なコミュニケーションを促進する役割も担えます。

 

 

4| まとめ ~「負動産」から「活用できる資産」へ~

空き家問題は、少子高齢化という避けられない社会課題と密接に絡み合っています。しかし、放置すれば「負動産」として地域社会と所有者双方に重い負担をかけ続ける一方で、適切な対策と活用策を見出せば、「地域活性化の資源」や「新たなライフスタイルを提案する場」へと生まれ変わる可能性を秘めています。

所有者にとっては、自分の大切な資産を負動産化させないためにも、早めの対策が肝心です。そして、その解決策を見つける上で、専門家の存在が不可欠です。行政書士は、法務手続きの専門家として、空き家の発生予防から活用などの所有者の様々な困りごとに寄り添い、具体的な解決策を提案することで、この喫緊の社会課題に貢献できる重要な役割を担っています。

空き家をただの「空き家」で終わらせず、その土地の歴史と未来を紡ぐ「活きた資産」へと変えていくには、専門知識とサポートは必要となってくるでしょう。

 

いかがでしたでしょうか。
空き家を所有している方だけの問題では済ませられない現状と、その対策について触れてまいりました。お困りのことは、お早めに専門家にご相談を。

 

執筆者

行政書士おちあい事務所 行政書士 落合真美

遺言や相続、建設業や産廃業などの許可申請でサポートを提供。人に、会社に、寄り添うことを大切にしています。

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