
こんにちは。行政書士の落合です。
「うちは良い仕事をするのが本業だ。書類仕事は苦手で時間がもったいない」
建設業を営む経営者の方々から、このようなお声をよく聞きます。確かに、現場での品質管理や安全確保こそが、建設業の核です。しかし、その「良い仕事」を継続し、事業を拡大していくためには、工事中に発生する行政手続きや書類管理を完璧にこなすことが不可欠です。
特に、建設業許可を取得している事業者は、一つでも書類に不備があったり、提出義務を怠ったりすると、行政指導や罰則の対象となり、最悪の場合、5年後の許可更新が危うくなります。
本コラムでは、工事着手から完了までの書類作成の業務を含め、御社の事業継続に必要な申請など、いかに行政書士がパートナーとなり得るかをご説明します。
一人親方様、事務作業が普段なかなか回らない事業者様など、ご覧いただけますと幸いです。
目次
1| 工事の進行と並行して進む「書類の波」
1-1 契約・着手段階の必須書類
1-2 現場管理における記録の義務
2| 許可業者としての「継続的な報告義務」の遵守
2-1 変更届出書の提出(30日ルールを厳守)
2-2 事業年度終了届(決算報告)の提出
3| 行政書士を「コンプライアンス・パートナー」にするメリット
メリット①:現場を書類から解放し、本業に集中できる
メリット②:行政庁との窓口を一元化し、確実な提出を実現
メリット③:5年後の許可更新を見据えたサポート
1| 工事の進行と並行して進む「書類の波」

建設工事は、契約から引き渡しまで、次から次へと書類作成の義務が発生します。これらは単なる事務作業から建設業法に基づいた「コンプライアンス維持のための記録」までも含まれます。
1-1 契約・着手段階の必須書類
適法な請負契約書
建設業法第19条で定められた、工事内容、請負代金の額、工期、支払い時期など、法定の重要事項を必ず記載しなければなりません。口約束や簡単な覚書では許されません。
施工体制台帳・施工体系図
元請業者として下請けに工事を出す場合、この作成・管理は義務です。これを怠ると、重層下請け構造や安全管理に問題があると判断され、行政指導の対象となります。
1-2 現場管理における記録の義務
産業廃棄物マニフェスト(管理表)
工事中に発生した産業廃棄物を処理業者に引き渡す際、排出事業者として交付義務があります。このマニフェストの運用が適切でない場合、不法投棄などの責任を問われるリスクが生じます。
技術者の配置
現場に配置した主任技術者・監理技術者の情報を、適切に記録・管理しなければなりません。
これらの書類を現場監督や技術者が兼任で作成・管理することで、本来の安全管理業務や施工品質管理がおろそかになるという本末転倒な事態に陥ることも考えられます。
2| 許可業者としての「継続的な報告義務」の遵守

建設業許可は、一度取得したら終わりではありません。許可業者である限り、常に最新の企業情報を行政庁に報告し続ける義務があります。これが、日々の業務の中で最も見落とされやすい「書類の罠」です。
2-1 変更届出書の提出(30日、4カ月ルールを厳守)
許可申請時に提出した内容に変更が生じた場合、多くのの事項について変更から30日以内に届け出なければなりません。
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役員変更(就任・辞任)
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本店所在地や営業所の移転・名称変更
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資本金の増減
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営業所技術者の交代
特に、経営業務の管理責任者や営業所技術者といった許可の根幹に関わる部分に変更があった場合、この届出を怠ると、将来的な許可の更新が不可能になる可能性すらあります。
2-2 事業年度終了届(決算報告)の提出
建設業許可業者は、毎事業年度終了後、4ヶ月以内に必ず決算報告(事業年度終了届)を提出しなければなりません。
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前事業年度の工事経歴書や財務諸表など、提出書類は多岐にわたります。
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これを怠ると、許可の有効期間(5年間)が満了する際の更新申請を受け付けてもらえません。つまり、事業継続に直結する最も重要な年間報告義務です。
現場のプロである経営者や技術者が、これらの「30日ルール」や「4ヶ月ルール」を完璧に把握し、実行し続けるのは現実的に非常に大変な作業です。
3| 行政書士を「コンプライアンス・パートナー」にするメリット

行政書士は、これらの煩雑で専門的な書類作成・提出の代行を通じて、御社の事業を陰から支えます。
メリット①:現場を書類から解放し、本業に集中できる
現場監督や技術者を、膨大な事務作業から解放します。その結果、現場の安全管理と施工品質という、御社の核となる業務に最大限の時間を割けるようになり、生産性の向上に貢献します。
メリット②:行政庁との窓口を一元化し、確実な提出を実現
行政書士が御社の行政庁への窓口となり、すべての届出や報告をタイムリーかつ正確に代行します。これにより、変更届出の漏れや期限遅れによるペナルティのリスクを回避します。
メリット③:5年後の許可更新を見据えたサポート
日々の変更届出や決算報告は、すべて5年後の許可更新審査のための積み重ねです。行政書士は、5年後の更新が確実にクリアできるように、提出された書類を管理・チェックし、許可の有効性を維持し続けます。
建設工事の円滑な進行と、継続的な事業運営のために、行政書士を「現場のプロ」を支える「コンプライアンス・パートナー」としてご活用ください。御社の事業拡大への道のりを、書類面から強力にサポートさせていただきます。
ひとり親方様、普段なかなか事務作業が回らない事業者様など、日ごろの書類管理、データ整理などの事務作業も含めて、お困りの事がありましたら遠慮なくお尋ねください。

執筆者
行政書士おちあい事務所 行政書士 落合真美
遺言や相続、建設業や産廃業などの許可申請でサポートを提供。人に、会社に、寄り添うことを大切にしています。