こんにちは。行政書士の落合です。
「実家のお墓が遠方にあって、将来の管理が心配…」
「後継者に負担をかけないよう、自分たちの代で『墓じまい』を検討したい」
少子高齢化や核家族化が進む現代において、お墓に関する悩みや価値観は大きく変化しています。それに伴い、従来の「先祖代々の代々墓」だけでなく、「樹木葬」「屋内型納骨堂」「永代供養墓」といった新しいスタイルのお墓を選ぶ方が急速に増えています。
電車内の広告や新聞の折り込みチラシ、テレビCMなどでも、綺麗で明るい納骨堂やガーデニング霊園の案内を目にする機会が多くなったのではないでしょうか。
これらの身近になりつつある新しいお墓や霊園が、一体どのような仕組みで作られ、運営されているのでしょう。
実は、お墓や納骨堂を新しく作ったり増設したりする背景には、非常に厳格な「行政上の許可手続き」が存在します。今回は、今どきのお墓事情と、私たちにもかかわりのある行政手続きをご紹介します。
目次
1| 変化するお墓のカタチ!「樹木葬」や「納骨堂」とは?
昔ながらの「お墓」といえば、寺院の境内や郊外の霊園に代々受け継がれてきた石碑をイメージされる方が多いでしょう。しかし、近年では次のような新しいタイプのお墓が注目を集めています。
① 樹木葬(じゅもくそう)
墓石の代わりに「シンボルツリー(樹木や花木)」を標識とし、その周辺にご遺骨を埋葬するスタイルです。自然に還るイメージや、費用が抑えられる点、継承者が不要な「永代供養」が付いているケースが多いことから、非常に高い人気を誇っています。
② 屋内型納骨堂(のうこつどう)
建物の中にカードをかざすと自動でご遺骨が運ばれてくる「自動搬送式」や、棚型のロッカータイプなど、天候を気にせずお参りできる施設です。駅の近くや都心部に作られることが多く、アクセスの良さからお参りしやすいと選ばれています。
③ 永代供養墓(えいたいくようぼ)
お寺や霊園が、遺族に代わって長期的(または半永久的)にご遺骨の管理や供養を行ってくれるお墓です。単身の方や、お子様がいないご家庭、子供にお墓の管理負担をかけたくないという方に需要が急増しています。
こうした新しいお墓は、単に「便利だから」というだけでなく、現代の家族形態にマッチした選択肢として定着しつつあります。
2| 誰でも自由にお墓を作れるわけではない?法律上のルール
「自分の所有地(山林や庭)に、樹木葬として木を植えてご遺骨を埋めてもいいのだろうか?」「お寺の境内にある空きスペースに、新しい納骨堂を勝手に建ててもいいのだろうか?」
これらはすべて法律で固く禁止されています。
お墓やご遺骨の管理については、「墓地、埋葬等に関する法律(通称:墓埋法)」という法律で厳格にルールが定められています。
私有地であっても許可なくご遺骨を埋めると「死体遺棄罪」や墓埋法違反に問われる可能性がありますし、お寺であっても行政の許可なしに新しい納骨堂を開設することはできません。
私たちが安心してお参りできるお墓や霊園は、すべて行政の厳しいチェックと許可を得て運営されているのです。
3| どのような審査が行われる?「墓地経営許可申請」の主な要件
お墓や納骨堂を新しく作るために必要な行政手続きを、「墓地経営許可申請」といいます。
この許可手続きは、市民の衛生環境や地域の良好な生活環境を守るため、行政手続きの中でも特に厳格な審査基準が設けられています。具体的には、主に次のような要件をクリアする必要があります。
① 参入できる事業者が限定されている
営利企業が自由にお墓を作って売り出し、万が一その会社が倒産して放置されてしまったら、そこに眠るご遺骨やご遺族はどうなってしまうでしょうか?
そうした事態を防ぐため、墓地経営許可を取得できる事業主体は、原則として市町村などの地方公共団体や、歴史や実績のある宗教法人、営利を目的としない公益法人などに限られています。一般的な株式会社などが単独で参入することは、原則として認められていません。
② 厳しい設置場所と設備の基準
墓地や納骨堂を建てる場所には、公衆衛生や防災、周辺環境への配慮から細かな基準が設けられています。住宅街や学校などから一定の距離を保つことや、防災施設、駐車場の配置、地震や火災に強い構造であることなどが求められます。
③ 近隣住民との協定や事前協議
自分の家のすぐ隣に新しい霊園ができるとなると、景観や交通量増加などの懸念から、近隣住民の方々の理解が不可欠です。そのため、許可を申請する前には説明会の開催や、行政との事前協議をおこなう必要があります。
4| なぜ今、お寺や霊園が新しい手続きに取り組んでいるのか?
5| 「お墓の引っ越し(墓じまい)」を考えたときにも行政手続きが登場する
6| まとめ ~安心できるお墓選びと、スムーズなお手続きのために~
お墓のカタチは時代とともに大きく変わり、選択肢も多様化しました。
「樹木葬」や「納骨堂」といった新しいお墓を検討される際は、デザインや費用の面だけでなく、「しっかりと行政の許可を得て、永続的に管理されている信頼できる施設か」という視点を持っておくと、より安心です。
また、「実家のお墓を整理して、新しい納骨堂に移したいけれど手続きが分からない」といった「墓じまい・改葬」に関するお悩みがございましたら、当事務所へご相談ください。
複雑に思える法的手続きをスムーズに整え、大切なご先祖様とご家族の想いを次の世代へ安心につないでいくお手伝いをさせていただきます。
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執筆者
行政書士おちあい事務所
行政書士 落合真美
遺言、任意後見、死後事務委任などの生前対策や相続手続き、各種許可申請などでサポートを提供。人に、事業に、寄り添うことを大切にしています。