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こんにちは。行政書士の落合です。

かつて、住まいを借りるということは、単なる民間の契約問題でした。しかし今、日本の賃貸市場には、お金があっても、意欲があっても「家が借りられない」という深刻な目詰まりが生じています。

特に単身高齢者や障がいを持つ方、そして近年、国が推進している「二地域居住」を希望する人々にとって、賃貸住宅の壁は想像以上に厚いのが現状です。この目詰まりを解消し、誰もが安心して自分らしい場所に根を下ろせる社会を作るため、国は「特定居住支援法人」の指定制度という大きな一手を打ち出しました。

本コラムでは、なぜ今この制度が必要なのか、そして国が描く「二地域居住」という新しいライフスタイルとこの制度がどう結びついているのか、その本質を解き明かします。

1| 背景にある「人口流出」と、地方の静かな崩壊

この制度を語る上で欠かせないのが、長年続いてきた「地方から都市部への人口流出」という構造的な問題です。

高度経済成長期以降、多くの若者が地方を離れ、都市部へと移り住みました。その結果、地方には管理の行き届かない空き家が激増し、地域コミュニティは活力を失っています。一方で、都市部では過密による住宅コストの高騰や、孤独な高齢化が進んでいます。

国が今、強力に「二地域居住」を推進しているのは、この歪んだ人口構造を是正し、地方に「関係人口(定住はせずとも、継続的に関わる人々)」を呼び戻すためです。地方の空き家を、都市部の人々の「第二の拠点」として活用してもらうこと。それは地方創生における最重要課題の一つなのです。

 

 

2| 「貸し渋り」という名の、地方再生のブレーキ

しかし、いざ「地方に拠点を持ちたい」と願う人々が現れても、現場では大きな障壁が立ちはだかります。それが、地方の空き家オーナーによる「心理的な貸し渋り」です。

地方の高齢オーナーにとって、都会から来る見知らぬ単身者は「もしもの時に誰が対応してくれるのか」「不在時の管理はどうなるのか」という強い不安の対象となります。孤独死や残置物といったリスクへの恐怖から、本来なら活用されるべき優良な物件が「空き家のまま放置される」という悪循環が続いてきました。

つまり、個人の不安から生じる「貸し渋り」が、国が進める人口還流・地方再生のブレーキとなってしまっているのです。

 

 

3|  特定居住支援法人:信頼を担保する「社会インフラ」

従前からの「居住支援」から一歩踏み込み、より厳格な基準のもとで、特定居住支援を委ねる組織です。

二地域居住の「管理人」としての役割とは?

民間法人が公的立場から活動しやすい環境を整備し、二地域居住の促進を通じた地域の活性化に取り組む市町村の補完的な役割を果たしていくことにあります。

これにより、地域住民も「管理の行き届いた隣人」として移住者を迎え入れることができ、外から来る人々が地域社会に溶け込むためのソフトな接続(ハブ)が実現します。

 

 

4| なぜ「指定」という厳しい枠組みが必要だったのか

国が、「指定」という重みを持たせたのには、明確な意図があります。それは、居住支援を「ボランティアの域」から、国家戦略を支える「公共サービス(インフラ)」へ昇華させるためです。

「二地域居住」という国家戦略を支えるインフラにするため

国が推進する「二地域居住」では、入居者が家を空ける時間が長くなります。管理が不透明な物件が増えることは、地域社会にとってリスクとなります。

二地域居住を支える「管理人」のような役割を担う法人が、もし不適切な運営(情報の漏洩や管理の放棄など)をすれば、地方創生そのものが破綻します。そのため、一定のハードル(指定基準)を設け、不適切な法人は指定を取り消せるという「監督体制」を構築したのです。

財務の安定性、個人情報の厳格な管理、そして対応能力など、高いハードルをクリアしなければなりません。この「公的なお墨付き」があるからこそ、家主は安心して鍵を託し、入居者は自立した生活を送るための「権利」を主張できるのです。

これは、依存ではなく、お互いが適切な距離感を保ちながら支え合える「大人の社会システム」の構築を目指したものです。

 

 

5|  組織の信頼性を高める「専門家」との融合

特定居住支援法人が、家主や自治体から「真に信頼されるパートナー」として機能するためには、単なる見守りサービスを超えた専門性が求められます。

例えば、法人のスタッフや役員、あるいは緊密な提携先に国家資格者が存在することは、法人の運営において大きな強みとなります。

例えば、

  • 権利擁護のプロとしての安心感
    入居者の認知能力が低下した際や、万が一の際の「死後事務」への対応。これら法的判断が求められる場面で、専門知識を持つ国家資格者が組織内あるいは提携先にいることは、家主にとっても入居者にとっても「法的なトラブルに発展させない」という強力な保証になります。

  • 不動産取引の適正化
    例えば、宅建士の視点があれば、物件の管理状況や契約の妥当性を厳極に判断できます。これにより、「空き家を貸したい大家」と「借りたい入居者」の間で、無理のない、かつ持続可能な契約関係を構築することが可能になります。

このように、特定居住支援法人が「法律」や「不動産」の専門知識を内包することで、地域における「住まいの相談窓口」としての地位はより盤石なものとなります。都市部から地方への人口還流という大きな流れを支えるのは、こうした専門性に裏打ちされた「組織の信頼」に他なりません。

 

 

6| まとめ ~誰もがどこでも、安心して暮らせる社会へ~

特定居住支援法人の指定制度は、日本の住まいを取り巻く「不安」を「安心」に書き換え、人口還流を加速させるための鍵です。「借りられない」をゼロにし、自由なライフスタイルを選択できる社会を創る。その挑戦は、まだ始まったばかりです。

当事務所では、この新しいインフラを支えるべく、「特定居住支援法人」の指定を受けたい法人様、または参入を検討されている事業者様向けの申請支援を承っております。

制度の深い理解と、行政手続きの両面から、社会貢献活動をバックアップいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

 

行政書士おちあい事務所 
行政書士 落合真美

遺言、任意後見、死後事務委任などの生前対策や相続手続き、各種許可申請などでサポートを提供。人に、事業に、寄り添うことを大切にしています。

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